
ニオン界面活性剤)の酸化エチレン系、多価アルコール脂肪酸エステルなどがその中心ではないかと思われる。もとよりそのいずれがムース化油の破壊に最も有効かはこれを実験的に検証しない限り分からないが、ここではそのような基礎的な実験はできないため、市販の乳化破壊剤、油水分離剤の中から適切と思われる成分を持つものを選び出すこととした。詳細は第2章に記すが、最終的に広い範囲にわたって有効であったのは陰イオン系ではアルキルベンゼンスルフォン酸ソーダ、アルキル硫酸塩、非イオン系ではポリアルキルエトキシレート多価カルボン酸、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどであり、またその混合物である。これらは、商品名で「クリトニックTCA100」、「コレキシット」、「クリトニックTCA512」「ワンダミン」などと呼ばれている製品の主成分である。
これら各種の界面活性剤がムース化油というエマルジョンを壊す機構の詳細は必ずしも明らかではないが、一般的に言って、いわゆるHLB(hydrophilelipophile balanceの略。薬剤分子中に含まれる親水基と親油基の重量を割合で表した値)の小さい方がエマルジョンの破壊に有効に見えるところからみて、その作用は分散媒である油の界面に強く働いて油水分離作用を呈するものと想像される。
かくて、ムース化油にこれら界面活性剤を散布することにより、油と水は分離して油分は水の上に浮いて可燃化されるということになる。ただし、その作用、効果は油種、ムース化油の水分含有率などによって変わるほか、それは散布する薬剤の種類、量にも依存するから問題はかなり複雑である。その点、これら薬剤をムース化油の可燃化に利用するに当たっては、その適用条件が重要になり、さらにこの種の界面活性剤は一般用洗剤に利用されていることからも分かるように起泡性を持つので、燃焼の継続のためには、この泡を消す消泡剤の散布を必要とする可能性も予想される。
(2)ムース化油の焼却処理
上記のように界面活性剤の作用によりムース化油の構造を壊し、油と水を分離したとしても、そこに存在する油分はムース化の過程で石油中の軽い成分は失われているためそれほど燃え易くはない。従って、これに点火するためには、確実性を含めてかなり強力な着火源を要する。そのために本焼却処理法におい
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